社内報のキソ

社内報のキソ

2-1.写真撮影

社内報に限らず、雑誌の命でもある写真。しかし、写真の撮影は非常に奥が深いものです。この記事では、写真を撮るときのポイントや、撮影を進めるコツをお伝えします。

撮影の基礎

1.写真の重要性

言葉を介さずとも伝える力を持つ写真は、社内報において非常に重要な要素です。また、最初に読者の目に留まるため、デザイン的にも重要な役割を果たします。写真のクオリティが誌面の出来栄えを左右すると言っても過言ではありません。より良い社内報作り実現に向け、撮影の腕を磨きましょう。

 

 

2.撮りたい写真のイメージを掴む

誌面に最適な写真を入手するためには、事前に誌面イメージを持ち、そのための素材を集めていく必要があります。ありものの写真をどう使うかではなく、伝えたいことをしっかりと伝えるためにどんな写真が必要かを考えることが大切です。

 

例①トップメッセージの場合:表情

特にトップメッセージでは、険しい顔の写真を使用するのか、笑った顔の写真を使用するかを戦略的に考えましょう。

険しい顔の社長の写真では、会社の現状への危機感や、社員の気持ちを引き締め直したいという想いを伝えることができます。反対に、社員への未来に向けたメッセージや明るい雰囲気を伝えたいときには、笑顔の写真を使用します。

 

例②職場紹介の場合:集合写真の配慮

整列して撮るのとポージングして撮るのとでは誌面上のイメージは全く変わります。部署間の強い絆を表現したいのであれば、人と人とが密接に和気あいあいとしている様子の写真。仕事の緊張感を伝えるなら、一人一人が真剣に仕事に取り組む様子や、きちんと整列している写真。その部署らしさが伝わるように撮影するために、どんな写真が必要なのかを考えましょう。

 

このように、社内報を通して読者にどんなメッセージを伝えたいのかを考えて撮影に臨みましょう。

 

 

3.より良い手に入れるために

ここでは、イメージ通りの一枚を手に入れるための具体的なポイントを紹介します。

 

〈下見(ロケハン)〉

ロケハンとは、本撮影の前に行う撮影現場の下見のことです。それにより得られる利点は多いので、どのような場合でも、行うことをお勧めします。まず、撮影対象者の背後の風景によって印象は大きく変わるため、構図をあらかじめ決めておけると撮影がスムーズに進みます。また、本番の撮影時刻に合わせて必要な照明器具を事前に用意することが出来ます。

以前撮影したことのある場所でも、環境が変わっていて思い通りの撮影ができない可能性も十分にあります。

〈環境整備〉

写真撮影前には、写ってはいけないものが写らないか、安全上、コンプライアンス上NGな状態ではないかなど、撮影環境をしっかりと確認しましょう。また周りの方に告知しておくことで、デスクの片付けや掃除などに協力を得られます。

 

〈身だしなみ〉

被写体が人物の場合は、表情だけではなく、身だしなみも整えていただきましょう。髪型、服装(制服、作業着、靴)はもちろん、シャツが出ていないか、だらしなくないか、チャックをどこまで上げるか、袖ボタンを留めているかなど、細かい部分にまで注意します。見落とされがちなのが、ポケットに入っているもの。全て出していただきましょう。

 

〈表情〉

表情をうまく引き出すためには、会話が大事です。「笑ってください!」と伝えられても、良い表情を引き出すのは難しいです。こうしたときは、「今日の朝ごはんは何だったんですか?」「休日なにしてますか」など他愛もない会話で場を和ませ、モデルが自然体で撮影に臨めるように心掛けましょう。社内報の場合、撮影に慣れていない方が多いので、安心できる空気をつくることが大切です。撮影できる機会は一度きりです。思い描いた通りの写真を手に入れるために被写体の良さを引き出す雰囲気づくりは撮影者の腕の見せ所になります。

撮影時のポイント

写真撮影の工程は、社内報担当者様自らが行うよりも、プロに依頼したり、遠隔拠点の現場に依頼したりすることも多いでしょう。ここでは、それぞれの場合のポイントを紹介していきます。

 

1.社内報担当者様が撮影をする場合

①スマートフォンを使う場合

最近ではスマートフォンでも十分に良い写真が撮影できます。但しその場合、カメラ機能は良くても撮影設定を最大にすることを忘れないよう注意してください。また、アプリ加工は解像度が落ちることが多いので使用を控えましょう。

 

②一眼レフやデジカメを使う場合

ブレ、ピント、明るさ、トリミングできる余白を持っているかなどの機能確認をあらかじめ行ってください。慣れないカメラ操作で時間がとられてはもったいないため、ご自身が使い慣れたものを使用することをおすすめします。

 

 

2.プロに依頼する場合

プロカメラマンに依頼する場合大切なことは、まず、撮影したい写真のイメージを事前にカメラマンにしっかりと伝えることです。指示が曖昧だとカメラマンも力を発揮できません。

また、イメージ通りの写真が撮れているかどうかは、必ず撮影中にリアルタイムでチェックしましょう。撮影できるチャンスはその時間にしかありません。撮影した写真がその場で確認できるよう、PCモニターを持ってきてもらうなど、現場で確認できるようにお願いしておくと良いと思います。

イベント撮影時のポイント

入社式、株主総会、永年勤続表彰、新年会、改善発表会など、1年を通じて目白押しの社内外のイベント。ここでは、そのようなイベント報告や記録などの撮影にあたっての心掛けを紹介します。

 

1.会場の下見(ロケハン)

まずは式典やイベントが行われる会場の下見(ロケハン) をしましょう。会場の広さを知ることで機材の選定、特に望遠レンズの有無や撮影位置の確認を行うことができます。

会場のチェック項目は催しにより異なります。例えばセミナーであれば、講師の演台の位置。表彰式であれば、表彰者の動線や表彰状を授与される際の立ち位置など。撮影対象の動きを把握しておくことで、ベストポジションから当日焦らずに撮影することができます。それらのリハーサルが行われる場合は同席を願い出ると良いでしょう。

 

 

2.当日のプログラム確認

式典、イベントのプログラムは必ず確認して撮影に臨みます。特に複数の会場で同時進行するイベントの撮影は事前のスケジューリングが必須です。

イベントや式典の間には数多くのシャッターチャンスがありますが、ここぞという瞬間を逃さずに撮影することで、その空間の雰囲気や、人々の様子をわかりやすく伝えることができます。表彰式で受賞者がトロフィーを授与される瞬間、賞状をもらって顔をあげる瞬間などの難しいタイミングも、式の流れが分かっていれば狙って撮影していけます。

プログラムを確認しておくことで、どの瞬間に狙いを定めるのか、事前にしっかりと考え、準備しておくことができます。

 

 

3.撮りたい写真の優先順位をつける

イベントなどで撮影内容が多岐にわたる場合は、記録しておきたいポイントの撮影内容と優先順位を決めてから本番に臨みましょう。

例えば、

 

  • 1会場後方からの全体画 (正面、左、右)
  • 2講師のいる壇上と客席前列あたりまでを入れて聴講している画
  • 講師のアップ(全身、上半身)

など式典やイベントによって撮影する内容と撮影場所・優先順位をあらかじめ決めておきます。当日はその順番通りに撮影していくことで、撮影後の写真の整理もしやすくなります。

 

 

4.表彰時の並び順を考える

表彰式の後によくあるのは、受賞者や表彰者全員との集合写真などの撮影です。

ここでは、その時にどう並んでもらったらいいのか分からないという方のために、集合写真撮影の際の一般的な並び順を紹介します。

 

〈2名の場合〉

2名の場合はカメラ側から見て右が偉い方、左が下の方になります。

社長が社員を表彰して2名で記念撮影をする場合は、カメラ側から見て左から「受賞者」・「社長」の順番になります。

 

〈3名の場合〉

3名の場合はカメラ側から見て偉い方から真ん中、左、右になります。

社長が社員を表彰して3名で記念撮影をする場合は、カメラ側から見て左から「副社長」・「社長」・「受賞者」の順になります。

 

〈集合写真の場合〉

集合写真の場合はカメラ側から見て偉い方から最前列の真ん中、左、右、さらに左、右になります。

最前列は、カメラ側から見て左から 「部長」・「副社長」・「社長」・「専務」・「課長」の順になります。

 

イベントや式典は会社にとって節目となる重要な瞬間です。こうした瞬間に参加する人々の表情やイベントの雰囲気などがしっかりと伝わるような記録を取れるよう、十分に準備して臨みましょう。

機材の準備とデータの保管

撮影に慣れてくると撮影前の事前準備や撮影後のデータ管理がおろそかになりがちです。

自分の不注意で撮影ができなかったり、万が一撮影データを喪失してしまったりしたら元も子もありません。ここでは、慣れてきたときに起こりやすいミスと、その対策方法を紹介します。

 

1.カメラの事前準備

実際に慣れてきた時に起こりやすいミスは以下のものが挙げられます。

・カメラの充電ができてなかった。

・予備のバッテリーを持参していなかった。

・前回の撮影データをパソコンに落としておらずカードの容量が埋まっていた。

・カードを持ってくるのを忘れてしまった。

 

こうしたミスで撮影ができないという最悪の事態を防ぐため、撮影前には、カメラの動作確認・持ち物確認を必ずしておきましょう。また、取材後にはカメラの充電作業をルール化するなどの工夫も大切です。「いつも取材に持参しているカメラバックを持っていけば大丈夫」と油断しないことが重要です。

 

 

2.撮影データの保管・バックアップ

習慣にしておきたいことは撮影前の事前準備だけではありません。

撮影後にも以下の確認を徹底しましょう。

 

(1)撮影したデータはきちんと保管されているか

取材後はすぐに撮影データをパソコンに移します。保管の方法はさまざまですが、自分だけが分かる方法で保管するのではなく、同じ部署の誰もがすぐに探し出せるルール(発刊号数で分ける、撮影年月日で分けるなど)を決めて保管することが大切です。

 

(2)撮影したデータのバックアップは取られているか

自分のパソコンにしかデータがない状態で、その端末が故障してしまったらせっかく撮影したデータが全て失われます。撮影した写真は即座に社内のサーバーや外付けのHDなどにきっちりとバックアップを取りましょう。

 

💡社内報コンサルタントからのワンポイントアドバイス

パソコン内のデータを喪失した場合の備えとして、撮影したSDカード内のデータはパソコンに落とした後もしばらく削除せずに発刊時まで置いておきましょう!

発行から1週間後まではSDカードに残しておくなど、ルールを決めて運用することをお勧めします。

以上のことをまとめると

 

  • 1カメラの事前準備と持ち物確認を徹底する
  • 2撮影データの保管とバックアップを徹底する

 

の2つのルーティン作業は、基本動作に組み込み、習慣化してしまうことが、何よりの対策になります。

まとめ

この記事では写真撮影の基礎をお伝えしました。大前提の話ですが、写真の世界は非常に深く、素人が撮影してもなかなか良い写真は取れません。ただし、全ての状況でプロのカメラマンに依頼できるわけでもありません。自分で撮影する場合、カメラマンに依頼する場合をしっかりと整理し、ポイントを抑えて良い写真を撮影しましょう!

 

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